パートナーシップ宣誓制度と事実婚の違いとは?メリット・デメリットをわかりやすく解説
「結婚という形にはこだわらないけれど、二人の関係性を確かなものにしたい」そう考えるカップルが増えています。法的な結婚(法律婚)以外にも、パートナーとの関係を築く選択肢として「パートナーシップ宣誓制度」や「事実婚」という言葉を耳にする機会も多いのではないでしょうか。
しかし、この二つが具体的にどう違うのか、どんなメリットやデメリットがあるのか、正確に理解している方は少ないかもしれません。この記事では、多様なパートナーシップの形を考える上で重要な、この2つの制度の違いを比較表も交えてわかりやすく解説します。
パートナーシップ宣宣誓制度とは?
パートナーシップ宣誓制度は、主に同性のカップルを対象に、二人が互いを人生のパートナーとすることを自治体に宣誓し、自治体がその関係を公的に認める制度です。
どんな制度?
この制度の最も重要なポイントは、法律上の権利や義務を発生させるものではないという点です。あくまで自治体独自の取り組みであり、法的な婚姻関係(法律婚)とは異なります。しかし、自治体から宣誓書受領証などが交付されることで、二人の関係が社会的に尊重されやすくなるという大きな意味を持ちます。
例えば、以下のような場面で効果を発揮することが期待されます。
- 公営住宅への入居申し込み
- 病院での面会や手術の同意
- 携帯電話会社の家族割の適用
誰が利用できる?
主に戸籍上の性別が同じである同性カップルを対象としていますが、自治体によっては、異性カップルや、一方または双方が性的マイノリティであるカップルも対象としている場合があります。お住まいの自治体のウェブサイトなどで、対象者や要件を確認することが必要です。2024年現在、全国の多くの自治体で導入が進んでいます。
事実婚とは?
事実婚とは、婚姻届を提出していないため法律上の夫婦ではありませんが、当事者同士に夫婦としての意思があり、実際に夫婦同然の共同生活を送っている状態を指します。「内縁」とほぼ同じ意味で使われます。
どんな関係?
事実婚が成立するためには、一般的に以下の2つの要件が必要とされています。
- 夫婦になろうとする意思の合致:お互いを生涯のパートナーとして認識していること。
- 夫婦同然の共同生活の実態:同居し、生計を共にしていること。
結婚式を挙げたり、親族や友人から夫婦として扱われていたりすることも、事実婚を証明する要素となります。
法律上の扱いは?
婚姻届は出していませんが、単なる同棲とは異なり、法律上「準婚関係」として、法律婚の夫婦に準じた権利や義務が一部認められています。例えば、健康保険の被扶養者になることや、国民年金の第3号被保険者になることが可能です。ただし、相続権は認められないなど、法律婚と大きな違いがある点には注意が必要です。
【比較表】パートナーシップ制度と事実婚、何が違う?
二つの制度の主な違いを、以下の表にまとめました。
項目 | パートナーシップ宣誓制度 | 事実婚 |
---|---|---|
法的効力 | なし(条例等に基づく) | 一部あり(準婚関係) |
主な対象者 | 同性カップル(自治体による) | 主に異性カップル |
手続き | 自治体への宣誓・届出 | 不要(実態で判断) |
社会保険の扶養 | 原則として対象外 | 対象となる |
相続権 | なし | なし |
姓の変更 | 変更なし(別姓) | 変更なし(別姓) |
それぞれのメリット・デメリット
違いを踏まえた上で、それぞれのメリットとデメリットを見ていきましょう。
パートナーシップ制度のメリット・デメリット
【メリット】
- 手続きが比較的簡単で、公的な証明書が発行される安心感がある。
- これまで関係性を証明しにくかった場面(病院など)で、証明しやすくなる。
- 導入自治体が増えており、社会的な認知度が高まっている。
【デメリット】
- 法律上の効力がないため、税金の配偶者控除や法定相続人にはなれない。
- 制度を導入していない自治体へ引っ越すと、効力がなくなる場合がある。
事実婚のメリット・デメリット
【メリット】
- 夫婦別姓を維持できる。
- 社会保険の扶養に入れるなど、法律婚に近い社会保障を受けられる場合がある。
- 関係を解消する際に、戸籍に記録が残らない。
【デメリット】
- パートナーが亡くなっても、法定相続人になれないため、遺産を受け取るには遺言書が必要。
- 二人の間に生まれた子どもは、男性が認知しないと法律上の親子関係が生じない。
- 「夫婦である」という証明が難しく、社会的な信用度が法律婚より低い場合がある。
まとめ:自分たちらしい関係性を築くために
パートナーシップ宣誓制度と事実婚は、どちらも法律婚とは異なる特徴を持つ、大切なパートナーシップの形です。法的効力や社会保障の面で違いはありますが、どちらが良い・悪いというものではありません。
最も重要なのは、お互いの価値観を尊重し、将来のリスクも理解した上で、二人にとって最適な関係性を話し合って選ぶことです。この記事が、あなたたちらしい未来を築くための一助となれば幸いです。
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